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外傷(怪我)

​捻挫

​捻挫は靭帯の損傷であり、その損傷の程度によって痛みや機能障害が発生します。捻挫は、靭帯損傷の程度によって、軽度、中程度、重度の3つに分類されます。

 

軽度と中程度の捻挫は、安静冷却圧迫高挙固定といった保存的療法で 治療し、負傷した関節周囲の筋肉が弱くならないように、特別なリハビリテーション・ エクササイズが必要となってくるのですが、エクササイズのストレスで損傷している靭帯を再度引き裂くことのないように注意が必要です。

 

 常識としては、損傷部位に痛みを感じるような動きはさけるべきです。

 中程度および重度の靭帯損傷の場合、損傷の回復には6~12週間かかります。

 重度の靭帯損傷の可能性がある場合は、X線による検査で骨折の有無を確認することが必要になってきます。

 

●痛み

捻挫をすると、本来出来るはずの動きをするときに、痛みが走ります。これは、関節が本来の機能を失っているために起きます。特に、捻挫の原因となった時と同じような向きに捻るなどの行為をするときに、痛みは走ります。

 

その他にも、捻挫により損傷した靱帯部位を押すなどの刺激を与えたときにも痛みは走ります。(「圧痛」と呼ぶ)診察時には、この圧痛個所を触診することによって、痛めた関節構成組織、部位の特定をすることができます。

 

●腫れ

捻挫をした箇所が腫れることは、よくあることです。これは、捻挫のほとんどのケースで、関節包靱帯を損傷しているからです。そのため、関節包靱帯の内面にある滑膜層が炎症を起こし、腫れてしまうのです。

 

腫れを起こす成分は、滑膜層から分泌される液状の物質です。この液状の物質は、関節の可動範囲を狭めたり、痛みを引き起こしたりもします。きちんとした治療を受ければ、腫れは引いてきますが、治療が不適切だった場合は、腫れが慢性化してしまい、関節軟骨の変形に繋がることもあります。

 

捻挫がきちんと完治していないうちに、治療を止めてしまった、また、軽い捻挫だと判断し、病院へ行かずに、自己流の治療をした場合には、捻挫が治ったと思った後でも、ちょっとした時に、鈍い痛みを感じることがあります。これは、関節が不安定になっているために起こる、捻挫の後遺症です。

捻挫は、関節や靱帯を痛めてしまっている状態です。軽い捻挫だと思っても、きちんと病院へ行き、適切な治療をしなくてはいけません。また、せっかく病院へ行き、順調に治療をしていたのに、自己判断で、治療を止めてしまうのは、捻挫の完治には至りません。捻挫は、決して甘く考えてはいけない怪我であることを、頭に入れておかなくてはいけません。

​肉離れ(挫傷)

◆肉離れは筋肉の断裂障害です。


 スポーツ選手などが「肉離れ」により戦線離脱・・・
 という記事がよくニュースで掲載されますが、この肉離れとは、いったいどんな怪我なのでしょうか?


 この肉離れとは、「筋肉の収縮動作」が急激に行われた際に筋肉そのものに
・筋肉の部分断裂
・筋肉の完全断裂
 を発症する筋肉の障害です。


 日常生活範囲の運動動作では筋肉が肉離れを起こす事はまずありませんよね。
 これは、筋肉の運動エネルギーを生み出すメカニズムが関係しております。

肉離れは、急に全速力で走ったりジャンプしたりする動作によって筋肉が強く収縮されることで起こります。筋線維という筋肉を構成している線維状の細胞の一部が損傷してしまう状態です。

このように、筋肉の一部や筋膜が断裂することを「筋損傷」や「筋膜損傷」と言い、これを「肉離れ」と呼んでいるのです。一方、筋肉が完全に断裂してしまう状態を「筋断裂」と言います。このような肉離れは、太ももやふくらはぎに発生しやすいのが特徴です。

肉離れが起きやすい状況・部位・年代は

肉離れが起きやすいのは、スポーツをしているときです。特に、短距離走のスタートダッシュやジャンプといった瞬発的な動きをした際に発生するケースが多くなっています。

そして、肉離れは太ももの裏にもっとも起きやすいといわれています。ほかに、太ももの前面や内側、ふくらはぎも肉離れを起こしやすい部分です。

また、太ももの肉離れは20代を中心とした若年層に発生しやすいという特徴があります。それに対し、ふくらはぎの肉離れは年齢に関係なく発生しているようです。

筋肉痛との見分け方

筋肉痛とは運動をすることによって起こる筋肉の痛みのことです。一般的に筋肉痛は運動をした数時間後から翌日・翌々日に起こることから「遅発性(ちはつせい)筋肉痛」といわれています。

筋肉痛は、そのまま様子を見ていればだいたい運動後3~7日程度で痛みは治ってきます。痛みが激しく、動かすのもつらい場合は、筋肉痛ではなくケガ・肉離れや骨折の可能性が考えられます。

肉離れの症状-断裂音とともに強い痛みが生じる

肉離れが生じた瞬間は、強い痛みが突然生じて動けなくなります。ただし、損傷の程度によっては歩ける場合もあるでしょう。重症なときには歩行できません。

肉離れに特徴的なのが、ブチッという断裂音です。筋肉が切れた感覚がはっきりとわかる場合もありますが、これも損傷の程度によります。また、肉離れが生じているところは、素人が見ても筋肉が切れてへこんでいると認識できることも少なくありません。

損傷した部分には腫れが生じ強い痛みがあるため、ひざや足首など周りの関節を動かすことができない場合が多いでしょう。

​打撲

打撲とは、「打ち身」とも言われます。
転倒や何かにぶつかるなどで身体に外部から強い衝撃が加わることで起こる、皮下組織や筋肉などの軟部組織の損傷のうち傷口のないもののことです。日常生活で何かにぶつかったり、ぶつけたりすることでも起こります。皮下出血・腫れ・痛みなどの症状が現れます。

打撲は、身体に外部から強い衝撃が加わることで起こります。傷口がない身体の皮下組織や筋肉に生じる損傷のうち傷口のないもののことです。打撲による損傷部位は、血液に運搬された酸素等により修復されますが、その過程で血流量の増加によって損傷部の腫れや赤み、発熱といった炎症が発現します。 

打撲で血管や神経が損傷した場合は、皮下組織に血腫が形成され、赤から青紫、茶色、黄色、緑色などの外見上の変化が現れます。組織の腫れが血管や神経を圧迫すると、痛みや痺れの症状もみられます。 


※処置が悪い場合には・・・

組織内圧の上昇による血行障害で筋腱や神経が壊死するコンパートメント症候群に陥ります。特に四肢の場合は、関節が曲がらない、筋肉が突っ張るなどの機能障害を起こす外傷性骨化性筋炎を発症することがあるので注意が必要です。 


<<打撲と骨折の見分け方>> 

打撲の場合、腿や腕などの比較的肉の多い部分は痛みがあっても動かすことが可能で、関節の打撲では動かしたことで痛みが増すことはあまりないことが多いです。

 

一方、骨折の場合は箇所がどこであれ痛みが強く、大きく可動域が制限されます。なお、「内出血が見られ、動かせるが痛みが酷い」というときは両方の可能性が考えられるのでひとまず骨折と判断し、処置するとよいでしょう。 


また、患部の腫れにも違いがあります。打撲は打った箇所だけが腫れるのに対し、骨折はその周囲も腫れます。

 

打撲の場合は腫れるのにある程度の時間を要します。痛みが走っても、しばらくの間さほど腫れないときは打撲、痛みが走ってみるみるうちに患部が腫れてきたら骨折であるというのが1つの目安です。

 

ただ、僅かなヒビなど骨の損傷が軽微な場合や、膝の皿など周囲に筋肉の少ない部分の亀裂などは腫れないこともあるので、こうしたときには患部を冷やす、湿布を張るなどの処置をしながら数日様子を見るのも手段の1つとなります。

 

日が経つにつれて治ってゆく打撲に対し、骨折していると日を追うごとに腫れや痛みが増すので、そこで判断が可能です。 

脱臼​

脱臼は間接を過度に伸展、屈曲することで骨が完全に外れてしまう障害をいいます。 
発生時は耐え難い痛みが伴い、関節の可動域を狭めます。 


また、過度な伸展・屈曲は骨を支えている靭帯にも影響を及ぼすため、靱帯の損傷を併発する場合が多い傾向にあります。

なお、脱臼は症状により2つに分類されています。 
完全に骨が外れ変形を伴うものを脱臼、骨の位置がずれた程度のものを亜脱臼といいます。

脱臼の主な症状は関節の痛み・腫れ、変形です。 
痛みは発生直後から起こり、関節を整復しても一定期間は痛みが続きます。骨の外れ方によっては変形と関節固定が伴います。

原因

脱臼を起す原因は関節の可動域を超える動作を行うことです。
運動中の衝突、転倒時に手を地面に着く動作、交通事故の衝撃、格闘技の締め技などです。


関節には外れやすい方向があるため、その方向へ強い衝撃を受けてしまうことも脱臼を起す原因になります。

脱臼には強い変形が伴うため目視でも診断が可能です。ただし、骨折や靭帯損傷を起していることも考慮し、レントゲン撮影で状態確認をするのが一般的です。

​骨折

強い外力を受けて骨が部分的あるいは完全に離断された状態をいいます。

 

完全骨折 (折れた場合) と不全骨折 (ひびの場合) ,単純骨折または閉鎖骨折 (皮膚が破れていない場合) と複雑骨折または開放骨折 (皮膚が破れ,骨折部が体外と連絡している場合) などに分けます。症状は,局所疼痛,変形,腫脹,骨折端の触れ合う音がすることなどで,ショックなどの全身症状を伴うことが多いです。

 

外力の加わり方によって分類すると,外力の作用した部位に起る直達骨折,作用点から離れた部位に起る介達骨折に分けられます。また,病的要因で起る病的骨折もあります。一般的な治療としては,転位した骨片を整復し,安静とギプス包帯副木による固定を行うほか,必要ならば牽引や手術も行います。

骨とその周囲は神経と血管が豊富ですので、骨折するとその部位に痛みと腫脹が出現します。骨折がひどい場合は、動かせなくなったり、外見が変形したりします。しかし、単なる打撲や関節脱臼でも似た症状が出るので、診断をはっきりさせるにはX線(レントゲン)写真を撮ります。

原因

骨が壊れることを骨折と言います。したがって、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、凹んだ場合も骨折です。

骨折は骨に力がかかって発生します。健康な骨では、かなり大きな力がかからないと骨折しません。しかし、骨全体が弱っていたり、骨の一部が溶けていたりすると、弱い力でも骨折します(病的骨折)。


また、健康な骨に弱い力がかかる場合でも、同じ場所に繰り返し長期間かかり続けると骨折することがあります(疲労骨折)。

呼び名

骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出したものを開放骨折と呼び、治療を急ぐ必要があります。
骨折部が複雑に粉砕したものは粉砕骨折と呼び、今は複雑骨折という名称は使いません。また、転位(ずれ)の無いヒビだけの骨折を不全骨折と呼ぶ事があります。

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